コミックナタリー Power Push - 「スーパーマリオくん」

祝!50巻発売 “まだやってる”マリオくんと沢田ユキオの25年間

1990年に月刊コロコロコミック(小学館)にて連載を開始した、沢田ユキオによるギャグマンガ「スーパーマリオくん」。任天堂の大人気ゲーム「マリオ」シリーズを題材とし、四半世紀ものあいだ連載を続けてきた長寿作品だ。

コミックナタリーでは単行本の50巻が発売されたことを記念し、作者の沢田にインタビューを実施。連載25周年を迎えた今年、50巻という大台に突入した今の心境とこれからの展望を訊いた。さらにこれまでに刊行された単行本の書影が、ズラリと並ぶギャラリーも用意。「スーパーマリオくん」の歩みを感じてほしい。

取材・文 / 熊瀬哲子 撮影 / 安井遼太郎

 
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3巻越せたらいいかな、ぐらいに思ってた

──連載25周年と単行本50巻発売、おめでとうございます。まずは率直な感想をお伺いできればと思うのですが。

ありがとうございます。25年も続けてこられたことに一番驚いてるのは、たぶん自分じゃないかなと思ってます。

──こんなに続く作品になるとは、沢田さん自身も想像していなかった?

沢田ユキオ

なかったですね。それまでに単行本を出したことがある作品って、最高で3巻までだったんですよ。だから最初は3巻越せたらいいかな、ぐらいの気持ちで始めたんです。

──それが今や50巻の大台に。

マンガ家さんって皆さんそうかもしれないんですけど、あまり先が見えなかったのでその都度その都度で目標を立てて、目の前にあるものをやっつけていければいいかなと思いながらここまで来た感じなんです。だから50巻の次は51巻を出すことが目標です。

──「100巻行くぞ!」とかではなく?

100巻が出る頃にはもう死んでますから(笑)。担当の編集さんにも5年後が微妙だって話をしてるぐらいですし。

──いやいやいや(笑)。37歳から連載を始められて、現在62歳なんですよね。まったく年齢を感じさせないぐらいお若いです。

いえいえ。結構見栄張ってるところもあるんですよ。

急に「○巻面白かったです」と言われても表紙さえ思い出せない

──長期にわたって1つの作品を描き続けて、これだけの数の単行本を出すというのは簡単にできることではないと思います。沢田さん自身は50巻出してきたという実感はあるんでしょうか?

「スーパーマリオくん」第1話より。

そうですね……それがわからないんですよ。もう数的に麻痺してきてるところがありますから。30巻超えた辺りからだんだんわからなくなってきて。例えば今「37巻ってどんな話でしたっけ?」って聞かれても、表紙さえ思い出せない。「25巻のここが面白い」って言われても、「なんだっけ、それ」って感じで。わからなくなってきてるんですよね(笑)。

──ははは(笑)。50巻も出されてるわけですからね。過去の作品を読み返したりすることもあまりないんでしょうか?

読み返さなきゃいけないことがない限りは読まないですね。だから同じネタが何回も出てきたりしてますよ。そのへんは担当さんにも「もういいですよ。3年経ったら時効なんで」みたいなことを言われてます。

──(笑)。ちなみに50巻には1996年に発表されて以降、単行本に収録されていなかった「スーパーマリオRPG編」の前編が掲載されているんですよね。

そうなんです。事情によりずっと単行本に載せることができなかった作品なんですが、今回やっと収録できることになりまして。せっかくクッパがマリオたちと仲間になって一緒に戦う話なのに、載せられないのは残念だなと思っていたんです。だから今回やっと収録することができてスッキリした気持ちもありますし、僕自身すごくうれしいです。

25年目でやっと認めてくれたのかな

──記念すべきタイミングで収録が実現することになって、喜んでいるファンも多いのではないかと思います。そもそものお話なんですが、「マリオくん」のストーリーは、やはりゲームをプレイしながら思いつくものなんでしょうか?

沢田ユキオの特製コースをクリアすると入手できる、沢田ユキオ版のマリオくん。© 2015 Nintendo
© 2015 Nintendo

最初の頃は遊びながら描いてたんですけど、いつからかあまりやれなくなっちゃいましたね。やっぱりゲームをやって、マンガを描いてだと手が追いついていかなくなって。子供にお願いしてやってもらってた時期もあったんですが、最近はもう担当編集者頼みですね。でも基本的にはゲームとかけ離れたところで描いてるので、そこまで意識していないんです。あ、この間発売された「スーパーマリオメーカー」はやりましたよ。久々に遊んだんですけど楽しかった。僕が作ったコースも配信されるんです。

──連載25周年を記念して作られたコースですよね。しかもそのコースをクリアすると、沢田ユキオ版のマリオが手に入る(参照:沢田ユキオ版マリオくんがゲームに!「スーパーマリオメーカー」とコラボ実現)。

沢田ユキオの特製コースをクリアすると入手できる、沢田ユキオ版のマリオくん。“プリ尻(ケツ)”も再現されている。© 2015 Nintendo
© 2015 Nintendo

そうなんですよ。すごいですよね!

──今までゲームのマリオをマンガにして描いていたのが、今度は逆にゲームの世界に登場するんですもんね。

うれしいですね。25年描いてきて、やっと任天堂が認めてくれたのかなと思いました。

──それだけ描き続けられてきたわけですから、きっと今までも認めてくださってたんじゃないかと思うんですが。

うーん……昔は下ネタとかも多かったので、あまりよく思われてないんじゃないかと感じていた時期もあったんです。だから今回のコラボのお話をいただけたのは、とてもありがたかったですね。

沢田ユキオ「スーパーマリオくん(50)」 / 2015年10月28日発売 / 463円 / 小学館
沢田ユキオ「スーパーマリオくん(50)」

連載25周年を迎えたゲームギャグの金字塔、50巻の大台に!

記念巻だけに、マリオたちのボケも大加速!

「スーパーマリオ3Dワールド」の舞台で、ますます自由に暴れ倒すぞ~!

幻の未収録原稿「スーパーマリオRPG編」の前編も掲載だ!

「コロコロアニキ」4号 / 2015年11月14日発売 / 590円 / 小学館
「コロコロアニキ」4号

「スーパーマリオくん」の主人公・マリオが、これまでの軌跡を振り返る! 沢田ユキオによる哀愁ゲームギャグ「スーパーマリオッさん」を収録。また沢田のインタビューも掲載される。そのほか同号では藤子不二雄(A)を大特集。「忍者ハットリくん」などの名作の再録に加え、20名の著名なマンガ家たちから寄せられたトリビュートイラストを公開するほか、人気アプリゲーム「パズル&ドラゴンズ」のコラボ企画も予定されている。

沢田ユキオ(サワダユキオ)
沢田ユキオ

1953年生まれ、大阪府出身。1980年にテレビランド(徳間書店)にて「のってるヒーローくん」でデビュー。代表作に「スーパーマリオくん」「オレだよ!ワリオだよ!!」(小学館)、「スーパーマリオブラザーズ2」(徳間書店)など。