コミックナタリー Power Push - 「アイドリッシュセブン」種村有菜インタビュー

アイドルである彼らの、いろんな表情を見せていきたい

TRIGGERのお互いに見せる表情の違い

──小説にも種村さんの挿絵は入っていますが、同じシーンでも、小説とマンガでは違った表現をされています。

小説を読まれた方もマンガを読んでくださると思うので、小説の挿絵では等身そのままに描いたキャラクターもマンガではギャグシーンとして描いたり、見せ方は変えるようにしていました。それは今後も意識して変えていきたいと思っています。

──TRIGGERのお話を読んでみて、どちらかというとマンガのほうがコミカルな印象を受けました。

左はマンガ版、右は小説版。同じシーンでも表現を変えていることがわかる。

やっぱり小説とマンガでは緩急のつけ方も違うと思うんですけど、マンガとして飽きさせないテンポで読ませるために、ある程度はコミカルなシーンを盛り込んでいこうと思っていましたね。

──小説を読んだときとはまた違った楽しみ方ができますね。

私のコミカライズは、小説を読んだ後に「そういえばマンガはどうなってるんだろう」ぐらいの気持ちで読んでいただけたら。都志見先生の文章ってすごく読みやすいので、もちろん最初は小説を楽しんでいただきたいんですけど、どうしても活字を読むのが苦手だって方は、コミカライズを読んでもらえたらうれしいですね。

──「TRIGGER -before The Radiant Glory-」を描いてみて、お気に入りのシーンはありますか?

龍くんが主人公ポジションだったんですけど、龍くんと楽くんとの会話、龍くんと天くんとの会話は描いていて楽しかったですね。楽くんも天くんに見せない顔を龍くんにして、天くんも楽くんには見せない顔を龍くんにするんだなと。

──それぞれのちょっとした関係性の違いが出ていますよね。

そうですね。楽くんも天くんも、龍くんといるときは穏やかに笑ったり、表情が柔らかく、というのは描くときも心がけていました。

ゲームをやるときも4コマのネタ探し

──本編のほかにも、おまけの4コママンガを楽しみにしている読者の方も多いと思うんですが、これはどういった経緯で描くことが決まったんですか?

「アイドリッシュセブン TRIGGER -before The Radiant Glory-」に掲載された4コマ。

「TRIGGER -before The Radiant Glory-」は全3話だったんですけど、小説の見せ場を区切っていったときに、第2話だけページ数が短くなってしまったんですね。それだと読者の皆さんに申し訳ないなと思って、余ったページで4コマを描いてみたら、本編とは違ったお楽しみも増えるかなと思ったのが始まりだったんです。第2話だけアイナナのメンバーが出てこなかったので、編集部からの要望であった「アイナナのメンバーを出してください」というのも、そこで賄えるかなと思いまして。

──そういったきっかけからだったんですね。

4コマを描くのは私も好きなので、ちょっと描いてみようかなと。編集部からも好評だったので、第3話でも描くことになったんです。

──じゃあ今後も見られるかもしれない?

そうですね。ページが余れば描きたいなと思ってます。最近はゲームをやるときでも4コマのネタを探してるんです。

──ゲームをやっているときにもパッと思いつくものですか?

ネタが浮かびやすいキャラクター、浮かびにくいキャラクターがいるんですけど、まだゲーム本編でバックボーンが明かされていない子は、勝手に解釈するわけにいかないので、浮かびづらいところはありますね。壮五くんはネタが多い子なのですぐに思いつくんですけど、全員まんべんなく出してあげたいので、コツコツとネタを考えています。

叔母目線で見守る

──LaLa DX11月号からは、MEZZO”の2人を主人公にした「アイドリッシュセブン MEZZO”-紫青の霹靂-」がスタートします。種村さんはMEZZO”の2人に対してどんな印象をお持ちですか?

「アイドリッシュセブン MEZZO”-紫青の霹靂-」のイラスト。左から天然の脱力系キャラ・四葉環と、責任感が強く何事も優秀にこなす逢坂壮五。

私、自分のマンガのキャラクターに対しては息子や娘のような感覚があるんですけど、アイナナやTRIGGERに関しては、“ちょっと遠い親戚の子”みたいな気持ちでいて。どうしても叔母みたいな目線になっちゃうんですよ。

──(笑)。

だからゲームをしてるときも、MEZZO”の2人に対しては「もう少し仲良くしてくれないかな……」って、胃が痛くなる思いで見守ってるんです。だけど、描き手となるとそこの感情が違ってきて。「紫青の霹靂」を描くことが決まったときに、2人の衝突を描けるのがすごく楽しみだなって思ったんですよ。壮五くんの本気の怒り顔も、「描くの楽しみ!」ってノリノリで。

──完成したマンガを読むのが楽しみです。2人の仲直りのシーンは、小説の中だと結構ドラマチックな描かれ方をしてますよね。表現の美しさが求められるシーンなのかなと感じています。

ちょっとネタバレになっちゃうんですけど、皆さんには彼らを見守る群衆の気持ちになって読んでいただけたら、と思います。私も見守る群衆の気持ちで描きます。

Contents Index
種村有菜インタビュー
新作「MEZZO”-紫青の霹靂-」ラフ公開
種村有菜お気に入りイラストBEST3
CDジャケットのラフ公開
キャラクター原案・マンガ:種村有菜 小説原作:都志見文太 原作:バンダイナムコオンライン「アイドリッシュセブンTRIGGER-before The Radiant Glory-」/ 2016年8月19日発売 / 486円 / 白泉社
「アイドリッシュセブンTRIGGER-before The Radiant Glory-」

IDOOLiSH7が目標としている先輩グループのTRIGGERは、クールでセクシーな3人組。小説版で話題となったTRIGGER誕生秘話を、IDOOLiSH7も登場するオリジナルエピソードを加えてコミカライズ。4コママンガ14本や、撮り下ろしカラーピンナップ2ページも収録。

小説:都志見文太 キャラクター原案・イラスト:種村有菜 原作:バンダイナムコオンライン「小説 アイドリッシュセブン 流星に祈る」
「小説 アイドリッシュセブン 流星に祈る」
2015年12月4日発売 / 白泉社
800円
Kindle版 / 752円

個性豊かな7人組アイドルグループIDOOLiSH7。学園祭ライブの成功を誓う「流星に祈る」をはじめ、ライバルグループTRIGGERの結成秘話、MEZZO”の超仲良しぶりの日常レポート、ストーカー出現? メンバー危機一髪の巻などファン必見のオリジナルストーリー全4編を収録。カバー、カラー口絵、本文挿絵、巻末4コマなど、種村有菜の描き下ろしもたっぷり。

マンガ:山田のこし キャラクター原案:種村有菜 原作:バンダイナムコオンライン「アイドリッシュセブン(2)」/ 2016年8月19日発売 / 486円 / 白泉社
「アイドリッシュセブン(2)」

スーツ・学ラン・遊園地……マンガオリジナルイベントで、IDOLiSH7&TRIGGERが大暴れ! 描きおろしマンガ(大人組サウナ&子供組ラーメン)も収録!

「LaLa DX 11月号」/ 2016年10月8日発売 / 690円 / 白泉社
「LaLa DX 11月号」

種村有菜の新連載「アイドリッシュセブン MEZZO”-紫青の霹靂-」がスタート! 表紙は有川浩原作による弓きいろ「図書館戦争 LOVE&WAR 番外編」。

アイドル育成アプリ「アイドリッシュセブン」
種村有菜(タネムラアリナ)
種村有菜

1996年、りぼんオリジナル6月号(集英社)に掲載された「2番目の恋のかたち」でデビュー。1997年にはりぼんにて「イ・オ・ン」を初連載し、その後「神風怪盗ジャンヌ」が大ヒットを記録する。同作や「満月をさがして」はTVアニメ化もされた。詩的かつ印象的なセリフまわしや、こだわりのある美しい絵は、日本のみならず海外でも人気が高い。2011年にりぼんとの専属契約を終了し、フリーに。メロディ(白泉社)で「31☆アイドリーム」を連載中。