コミックナタリー Power Push - 「響け!ユーフォニアム2」監督・石原立也×原作者・武田綾乃対談

「働いたら負け」の時代に見せたかった、努力することの美しさ 全国大会に向けてラストスパート、北宇治ファイトォォー!

今後の注目は久美子役の黒沢さんの演技

──2期でお気に入りのシーンは?

石原 僕は先程お話しした花火大会と、5話の演奏シーンですね。単に演奏するだけではなく、キャラクターそれぞれが演奏に臨む気持ちのようなものを表現できた気がします。あすかもそうだし、みぞれやステージの袖にいる希美もそうだし、久美子も苦手だったところを演奏して。そういう、1人ひとりのいろいろな思惑を上手く入れられたのではと思っています。

各キャラクターがそれぞれに文化祭を頑張るシーンは、2期では珍しいコメディタッチ。アグレッシブメイド喫茶など、アニメオリジナルの場面も挿入され、その色合いはより濃くなった。

武田 私は6話の文化祭回ですね。かわいい感じと不穏な感じのバランスが「響け!ユーフォニアム」らしくてよかったです。最初は楽しい感じだけど、そこに滝先生の思いや麗奈が前を向いている感じが入ってきて、久美子がハラハラしてるところとか「中間管理職、がんばれー!」って思って観ていました(笑)。

──この特集が公開される12月5日時点で、アニメは最終回まであと4話が残っています。それぞれ特に注目してほしい点や期待しているシーンがあれば教えてください。

石原 終盤は久美子がかなりがんばるのですが、そこの黒沢ともよさんの演技がすごくいいんですよ。アフレコ中も、もらい泣きしちゃうくらいでした。

武田 今日の最終回のアフレコを少し拝見しましたが、本当に卒業感がありましたよね。

石原 黒沢さんが割と役に入り込む方なので、最後のシーンなんかは実際に泣いてらっしゃって。さすが役者さんですね。

武田 私は記事が掲載される頃にちょうど放送される、あすかと久美子がバチバチするシーンです。あそこは原作を書いている時に超スランプになったところだったので思い入れが深くって。まず小説という形でちゃんと世に出たことにホッとしたし、さらにアニメで観られるのはうれしいですね。本当にもう、本当にしんどかったんで!(笑)

2期第8話より。このあすかと久美子がバチバチやりあう第10話に、武田は注目しているという。

石原 そうだったんですか?

武田 どうすればあすかが吹奏楽部に戻ってくるのかが分からなくて。久美子の気持ちになって考えましたが、なかなか名案が思いつかず。どうしたらいいのか悩みに悩んで、もう締め切りが延びる延びる(笑)。

──渾身のシーンをアニメで観るのが楽しみです(笑)。最後にまだ制作中ではありますが、現時点で振り返って、お2人にとって「響け!ユーフォニアム」はどんなアニメでしたか?

武田 ちょうどアニメ制作と原作の執筆が同時進行している頃に、大学卒業後の進路を考えていたんです。そこでアニメ版がとても好評で、今の道を選んだところもあるので、個人的にも大きな影響を受けました。

石原 「働いたら負け」ではないですけど、最近は若い人を中心に、がんばったり努力したりといったことが少し軽んじられている気がしています。もちろんがんばっている人もたくさんいますけど。ただ、そうではない人に歳を取った人間として言いたいのは、若いときに自然に湧き出るエネルギーというのは歳を取るとなくなっていくもので、無駄に使うともったいないということ。そのエネルギーを、部活動でも何でもいいですけど、ひとつのものに打ち込むのがとても大事だと思います。そんなことを感じる時代に、こういう奇をてらわず、直球勝負な青春もののアニメを作れたのはとてもよかったですね。

Information

DVD / Blu-ray

1時間スペシャルでの放送が反響を呼んだ第1話「まなつのファンファーレ」を収録したDVD / Blu-ray第1巻が、12月21日にリリースされる。キャラクターデザイン・池田晶子がイラストを描き下ろした三方背特製ケース、デジパック、イラストカード(中川夏紀)、16Pスペシャルブックレット、2017年3月12日に開催されるスペシャルイベントのチケット優先販売申込券を特典として封入。また未放送ショートムービー「花火大会キッスへようこそ!」をはじめとした映像特典や、黒沢ともよ×朝井彩加×豊田萌絵×安済知佳のキャストコメンタリー、石原立也×池田晶子×山田尚子のスタッフコメンタリーも収録されている。2巻は2017年1月18日発売で、以降7巻まで毎月1本ずつリリースを予定。

「響け! ユーフォニアム2」1巻 2016年12月21日発売 / ポニーキャニオン
「響け! ユーフォニアム2」1巻
[Blu-ray Disc]
7020円 / PCXE-50711
Amazon.co.jp
[DVD]
6156円 / PCBE-55531
Amazon.co.jp

原作小説

小説のイラストは「青春しょんぼりクラブ」などを代表作に持つマンガ家・アサダニッキが担当。「北宇治高校吹奏楽部へようこそ」「北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏」「北宇治高校吹奏楽部、最大の危機」の3冊をもとにテレビアニメは制作された。そのほかサブキャラクターにスポットを当てた短編集や、ライバル校・立華の物語を綴ったシリーズ作も刊行されている。

「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」
武田綾乃
「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」
発売中 / 宝島社文庫
710円
Amazon.co.jp
「響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏」
武田綾乃
「響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏」
発売中 / 宝島社文庫
713円
Amazon.co.jp
「響け! ユーフォニアム 3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機」
武田綾乃
「響け! ユーフォニアム 3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機」
発売中 / 宝島社文庫
713円
Amazon.co.jp

コミカライズ版

はみがマンガ化を手がけ、宝島社のWebサイト・このマンガがすごい!WEBにて連載中。対談で石原監督が言及していた通り、アニメ版はキャラクターのセリフが標準語となっていたが、コミカライズ版のセリフは原作のテイストを活かした関西弁になっている。単行本は「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」全3巻、「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏」全2巻が発売中。

「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ(1)」
はみ、武田綾乃、アサダニッキ
「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ(1)」
発売中 / 745円
このマンガがすごい!comicsAmazon.co.jp
「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏(1)」
はみ、武田綾乃、アサダニッキ
「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏(1)」
発売中 / 745円
このマンガがすごい!comics
Amazon.co.jp
テレビアニメ「響け!ユーフォニアム2」

TOKYO MX1:水曜24:00~24:30
ABC朝日放送:水曜26:14~26:44
KBS京都:木曜25:30~26:00
テレビ愛知:水曜26:05~26:35
tsk:水曜25:00~25:30
BS11:木曜24:00~24:30
AT-X:金曜22:00~22:30

Blu-ray / DVD「響け!ユーフォニアム2」1巻 / 2016年12月21日発売 / ポニーキャニオン
「響け!ユーフォニアム2」1巻
Blu-ray Disc 7020円 / PCXE-50711
DVD 6156円 / PCBE-55531

第1回「まなつのファンファーレ」(本編48分)

初回特典
  • キャラクターデザイン池田晶子描き下ろし三方背特製 ケース/デジパック仕様
  • 16Pスペシャルブックレット:パート日誌(低音パート)、キャラクター紹介、第1回解説、楽器設定、小物 設定、美術設定、スタッフコメント【石原立也(監督)】
  • キャラクターデザイン池田晶子描き下ろしイラストカード(中川夏紀)
映像特典
  • 未放送ショートムービー「花火大会キッスへようこそ!」
  • WEB版予告映像
  • ノンテロップOP/ED
  • PV/CM集
音声特典
  • キャストコメンタリー(黒沢ともよ×朝井彩加×豊田萌絵×安済知佳)
  • スタッフコメンタリー(石原立也×池田晶子×山田尚子)
その他
  • 日本語字幕
  • 2017年3月12日開催スペシャルイベントチケット優先販売申込券(2017年2月6日申込締め切り)
原作小説 / 武田綾乃「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」発売中 / 宝島社文庫 / 710円
「響け!ユーフォニアム2」1巻

舞台は北宇治高校吹奏楽部。高校に入り、クラスメイトの葉月からの熱烈なアプローチを受けて吹奏楽部に入った久美子。

久美子の高校の吹奏楽部は、5年前までは関西大会の常連で、過去に全国大会に出場したこともある強豪校だったが、顧問である山岡が他校へと移ってからは関西大会にすら進めていない。

再度の顧問交代を機に、再び高みを目指す部員たちの青春と奮闘、幼い人間関係の深化を、小気味よい演奏シーンとともに描いた、スウィング・青春小説!

石原立也(イシハラタツヤ)

アニメーション監督・演出家。京都アニメーション所属。監督作に「中二病でも恋がしたい!」「無彩限のファントム・ワールド」などがある。

武田綾乃(タケダアヤノ)

1992年、京都府生まれ。2013年、第8回日本ラブストーリー大賞隠し玉作品「今日、きみと息をする。」でデビュー。2作目の「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ」がアニメ化され話題に。ほかの著書に「響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 前編・後編」、ユーフォシリーズのファンブック「響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌」(いずれも宝島社文庫)などがある。最新刊は「石黒くんに春は来ない」(イースト・プレス)。