原作より上原くんが男らしい理由

──白石さんの上原くんは、マンガよりも男らしい印象を受けました。ぶっきらぼうな感じが増してるというか。

白石　それはたぶん、大ちゃんがいるからなんですよ。

桜田　ほう。

白石　大ちゃんが王子様キャラとして出てきたから、上原くんはそれに対して、Sっ気が強くなったんじゃないかな。台本を読んでそう解釈しました。

桜田　確かに原作よりはドラマ版の上原くんのほうが、敵にしたときに強いと思う。大地をやってるときは、どうしても菜緒を上原から取り戻したくて必死なんですけど、客観的に見ると上原がカッコいいから「いやあ、勝てねえよ」って。6話で大地と菜緒が水族館に行くシーンで、菜緒が家に忘れてきた携帯に、2人で撮った写真がメールで送られてきたのを上原くんがたまたま見るんですよ。普通に考えたら、大地と菜緒が2人で写ってる写真だから嫌じゃないですか。でも上原くんは「なんだよ」って、指でピンって携帯を弾くだけ。それがもう、カッコよすぎて！

一同　ははは（笑）。

桜田　「この余裕はなんだ!?」って。大地だったら、同じことされたらもっと悲しい顔になっちゃう。もう勝てないなと思いました。

──原作にない三角関係がドラマでは大きな見どころですが、確かに大地は切ない表情が印象に残りますね。じゃれ合う菜緒と上原くんを、布団の中から寝たふりをして薄目で見るシーンなんて、切なすぎました。

桜田　もう地獄も地獄ですよね。大地は基本的に報われない。クリスマスに風邪引いた菜緒のためにお粥作ろうと鍋を開けたら、菜緒が上原のために作った好物のロールキャベツが入ってたりさ。

白石　毎回上原と大地が火花を散らすけど、上原は大地が売ってくる喧嘩に一切乗らないしね。

桜田　そう、そこがまた上原はカッコいいんだよ。でも最初はまるで喧嘩に乗らなかったところが、自分も菜緒が好きだって気付いたあたりから、少しずつ言い返してくるようになって。

白石　大地がいなかったら、上原が菜緒と付き合うのはもう少し遅くなってたかもしれないね。

福原　そうですね。菜緒の気持ちが上原くんに伝わるのも、ゆりりんがきっかけだったりするし、周りがいなかったら2人は付き合ってなかったのかも。

──福原さんは菜緒を演じていて、上原くんと大地に挟まれて気持ちが揺らぐことは？

桜田　いや、菜緒は一度も大地のほうには来てないんですよ。

福原　ほんっとに！（笑） だから大ちゃんとは、最初と最後以外、ずっと気まずいシーンが多かったんです。気持ちを寄せてくれても応えられない。菜緒はずっと上原くんを見ていて、大ちゃんとは幼馴染みだからこのままの関係でいたい……っていうところが苦しかったです。

──関係が壊れちゃうのが嫌だと。

福原　そうなんです。どうしても気まずくなっちゃう。

桜田　しかも大ちゃん、結構家とかにすぐ押しかけてきちゃうしね。

福原　一緒に登校してるシーンで「自転車の後ろ乗るか？」って菜緒を揺さぶってみたりね。二人乗りできないタイプの自転車なのに（笑）。

桜田　そうそう。客観的に見たら、大地って結構面白いやつなんですよ。恋愛をしたことがない高校3年生、っていうことでピュアに演じてたから、痛い奴にならずに収まったし、闇落ちしないで済んでよかったけど（笑）。そういう細かいところも見てもらえたらうれしいです。

高須賀先生は菜緒そのもの

──大地は連載中の続編「グッドモーニング・キス」に登場しましたね。ドラマからマンガへの逆輸入が起こりました。

桜田　そうなんです、現場に高須賀先生がいらしたときに「出してくださいよー」って冗談で言ったら本当に出してくれて。もうこれだけで十分です！ 現場での僕の印象が悪かったらこんなことはありえないと思うので、うれしかったですね。

──高須賀先生とは現場で結構交流されたんですか？

福原　はい！ 最初にお会いしたときに、桜田さんと白石さんを見て「カッコいいー!!」ってずっと言ってました。

白石　もう、菜緒そのものなんですよね。

福原　おっちょこちょいだし……（笑）。

桜田　もはや（福原と並ぶと）菜緒対菜緒でしたよ。

福原　いや、私より菜緒じゃないかな。すごいかわいらしくて素敵で……周りが明るくなる。

桜田　Twitterでもドラマの公式（アカウント）とか出演者のツイートに、ことあるごとにコメントくださったりするんですよ。ホントに愛情のある方で。でも高須賀先生、白石さんのことはもう直視できてなかった！

福原　うんうん！ 先生、思いが溢れて泣きそうになってました。写真撮るときも「すみません！すみません！」って。

──白石さんのことが上原くんに見えてたんですね。

白石　そうですね……。これは、今となっては言ってもいいのかな……高須賀先生はたぶん、僕のファンですね。

一同　（笑）。

福原　あんまり見てくれなかったですもん、私と桜田さんのほう（笑）。

白石　いろんな話をしましたよ。先に僕が撮り終わって帰ろうとした日があったんですけど、高須賀さんに「お話しようよ」って言われて、「芝居ってどういうふうに作ってるの？」「好きな監督は？映画は？」って1回喋り始めると帰してくれないから、気付いたら芝居論を6時間くらい……。夜の11時半くらいまで話してましたね。

桜田　すごい！ でもわかる、そんな人だよね。まさしく菜緒。

白石　ずっとメモ取りながら俺の話を聞いてました。「おすすめの映画、今度観てみます！」って。

──メモ……そこはまりなっぽいんですね。

福原　確かに！

桜田　先生の中に、全員（キャラが）いるんでしょうね。