坂本眞一が「モナリザの目に興味があった」と、夜の「ルーヴルNo.9」で語る

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坂本眞一によるトークショーが、去る8月22日に東京・森アーツセンターギャラリーにて行われた。

坂本眞一

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これは9月25日まで同会場にて開催中の展覧会「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」の関連イベント。坂本は展示会のために、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」にまつわる読み切り「王妃アントワネット、モナリザに逢う」を描き下ろしている。

イベントは閉館後の美術館で行われ、来場者は坂本の作品に囲まれながらイベントを観覧していた。まず最初に坂本は、同展のオファーを受けた際のことを振り返り「芸術の最高峰であるルーヴル美術館から声がかかるなんて信じられなかった。まさかマンガを描いていて、ルーヴル美術館とリンクできるとは……」と述懐する。またこれまで2度訪れたというルーヴル美術館について「教科書とテレビで見ていた絵画が急に現れるから心臓に悪い。歩いてるだけでドキッとする」と、率直なコメントを漏らした。

「王妃アントワネット、モナリザに逢う」の作中で描かれた「モナリザ」の目。

「王妃アントワネット、モナリザに逢う」の作中で描かれた「モナリザ」の目。[拡大]

続いて司会から「王妃アントワネット、モナリザに逢う」について聞かれると、坂本は「普段僕たちは『モナリザ』を鑑賞する側だけれども、この作品は生きている僕たちを『モナリザ』が鑑賞しているというコンセプトで描きました」と明かす。それに対し司会が「だからマンガの1ページ目は『モナリザ』の目から始まるんですね」と返すと、坂本は「有名であると同時に謎の多い絵画なので、彼女の目は何を見ているのか、それは目にどう映るのかという興味から始まりました。何百年も前に『モナリザ』は誕生して、目の前で繰り広げられるさまざまな悲劇や悲しい歴史を見てきたと思うんです。現在も悲劇は続いてるんですけれど、僕たちが彼女の目の中にある歴史を学ぶことによって、悲劇が繰り返される現実を変えてくれるんじゃないかと思って描きました」と思いを語った。

坂本眞一。後ろには、赤く染まった「王妃アントワネット、モナリザに逢う」の1ページが。

坂本眞一。後ろには、赤く染まった「王妃アントワネット、モナリザに逢う」の1ページが。[拡大]

また会場の「王妃アントワネット、モナリザに逢う」の展示パネルには、悲劇を表現したという血しぶきが付されている。グランドジャンプPREMIUM(集英社)掲載時と異なる見せ方をした理由を、坂本は「デジタルで手がけたので、ほかの展示と同じように原稿を飾るということがどうしてもできなくて。だからここでしか見られないものということで、僕がこの場でペイントしました」と話す。貴重な展示物について司会が「みなさん、盗まないようにしてくださいね」と冗談混じりに呼びかけると、坂本は「ちなみに今日は『モナリザ』が盗まれた日らしいので」とまさかの事実を話し観客を驚かせた。

イベントではフランスのバンド・デシネについての話題も。坂本は「うらやましいなと思うのはひとつの表現を、ふんだんにページを使って構成できるところ。日本のマンガはどうしても限られた時間とページで表現していかなければならないですが、バンド・デシネは1冊の本で提供できるので。大胆なコマ割りや色彩センスに刺激を受けます」と語る。一方、「日本のマンガも限られたスケジュールの中で、“わかりやすさ”という点が突出していると思います。日常の中で身近にある、友達のような感じがするのがマンガなのかなと思います」と、両国の作品について考えを述べた。

観客にサイン入りの図録を手渡す坂本眞一。

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またトーク終了後には、坂本がサインを入れた本展の図録を参加者全員に手渡し。観客たちは笑顔で坂本と言葉を交わしながら図録を受け取り、イベントは終了した。

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